労働条件通知書の内容を間違えていたときの賃金債権はどうなる?

過去に入社した社員の労働条件通知書が就業規則の条件を上回っている場合の賃金債権はどうなるのでしょう?
個別の労働条件が就業規則の条件を上回る場合は個別の労働条件が有効となります。また賃金債権について時効を援用するのであれば、遡及支払いをするということになります。
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このコンテンツの目次
  • 労働条件通知書と就業規則
  • 賃金債権の時効について
  • 事例詳細

労働条件通知書と就業規則に定める条件が異なるとき

  • 個別の労働条件が就業規則に定める条件を下回る場合、就業規則が有効となる。
  • 個別の労働条件が就業規則に定める条件を上回る場合、個別の労働条件が有効となる。

賃金債権の時効について

  • 2020年4月1日に施行された労働基準法115条により、退職金を除く賃金債権の時効が2年→5年に延長され、当面の間は3年へ。
  • 2020年4月1日以降に発生した賃金債権(2020年4月1日以降に支払った給与)についての時効が3年となる。

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事例詳細

  ある日、大塚商事の社長と総務部長は、採用した社員の労働条件の通知についてこんな会話をしていました。

総務部長

社長、2019年から労働条件通知書をSNSで通知できるようになったので、うちもそうしたいのですが。

社長

そうなんだ、それって簡単にできるの?

総務部長

ええ、本人が希望することが必要ですが面接時に説明して、意思を確認できたらSNSのアカウントを提出してもらうことにすれば大丈夫です。通知する内容も法定の項目がありますが、それも対応できますし。なにより、SNS通知ができれば用紙を印刷するなどの手間もなくなるのと、データも残りますので内容の確認も簡単になります。

社長

それなら進めてください。

こうして、総務部長は今までの労働条件通知の手順を変更し、SNSでの通知に切替えることにしました。そして部下のAさんと過去の労働条件通知書を確認していると、Aさんが2018年4月に入社した数名の社員の労働条件通知書を指して言いました。

Aさん

部長、この通知書、割増率が違っているんですけど・・・

総務部長

えっ・・・?どうなってるの?

Aさん

残業時間の割増率が125%ではなく135%になっていますけど・・・打ち間違えたんですかね。

総務部長

理由は今更わからないけど、給与計算では法定の割増率にしているから125%で払っているよね?

Aさん

はい、就業規則もそうなっていますので、ずっと125%で払っているはずです。

総務部長

通知書の下の方に、同意したという本人のサインがあるけど、なにも言ってこないが

Aさん

それは、そうだと思いますよ。私も最初にもらいましたけど、そのとき内容をちゃんと理解したかと言われるとちょっと自信がないですしそのあと見ていないです。

総務部長

そうなの・・・

Aさん

2021年の7月分まで給与を払っていますから3年と4か月分間違えてるということですよね、でも就業規則は125%ですし、遡って直さないといけないのでしょうか?遡るとしても去年時効が改正されたというニュースがあったと思いますがいつまでなんでしょう・・・

労働条件通知書と就業規則の条件が違う場合

 さてこの場合、大塚商事はどのように対応するべきでしょうか。まず個別に定めた労働条件と就業規則に定める労働条件が相違しているケースでは、個別の労働条件が就業規則に定める条件を下回る場合、就業規則が有効となり、個別の労働条件が就業規則を上回る場合は個別の労働条件が有効となります。

 そのため大塚商事は2018年4月に入社した数名の社員に対し法定時間外労働については135%の割増賃金を払わなければいけないことになります。

支払時期によって賃金債権の時効は異なります

 次に割増賃金の差額を遡及して支払う場合についてです。Aさんの言うとおり民法改正に関連して2020年4月1日施行された労働基準法115条により退職金を除く賃金債権についての時効が2年から5年となったものの当面の間3年とすることになりました(消滅時効の起算点に変更はありません)。

 これによって2020年4月1日以降に発生した賃金債権、具体的には2020年4月1日以降に支払った給与についての時効は3年となりますが、2020年3月31日までに支払った給与の時効は2年となります。そのため2021年8月時点を前提とすると、大塚商事のケースでは大塚商事が時効を援用するのであれば2019年8月に支払った給与分まで遡及して差額を支払うということになります。

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