歩合給と割増賃金
- 歩合給の場合、割増賃金を支払う義務はありますか?
- 例え成果が少なかったとしても、労働時間に応じて一定額の賃金の保障をすることが義務づけられており、歩合給であっても、割増賃金の支払は必要です。
賃金は労働時間に応じて保障されている
労働基準法では、たとえ成果が少なかったとしても、就業した以上、労働時間に応じて一定額の賃金の保障をすることを使用者に義務づけています。
これは、本人の能力にかかわりなく、仕事の繁閑によって賃金が左右され、また、労働者を過酷な重労働に追いやり、生活を不安定にすることを予防するための措置です。
よって、歩合給であっても、割増賃金の支払いは必要ですし、仮に歩合給の中に一定の残業代を含めて支払っている場合であっても、次の判例のように注意しなければならない場合があります。
歩合給の額が・・・時間外労働及び深夜労働を行った場合においても増額されるものではなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないものであったことからして、この歩合給の支給によって、・・・労働基準法37条の規定する時間外及び深夜の割増賃金が支払われたとすることは困難というべきであり、・・・労働基準法37条及び労働基準法施行規則19条1項6号の規定に従って計算した額の割増賃金を支払う義務がある。
高知県観光事件 最高裁 平成6.6.13 労判653号
歩合給と割増賃金
つまり、通常の労働時間の賃金と割増賃金との区別がつかない以上、歩合給の支給により、割増賃金が支払われたことにはならないということです。
賃金の中の何時間分が時間外労働であり、「金額にしていくら分が時間外労働の割増賃金部分に当たるのか」を明確にする必要があるということです。
さらに、実際の労働時間により計算した各月の割増賃金相当額が、各月所定の歩合給に含む割増賃金相当額を超えていれば、差額を支給する必要があります。
「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー
竹内社労士事務所の代表である竹内が、最新の法改正や労働事情を踏まえ、2024年度版に改訂した最強の就業規則をベースに、法的根拠やトラブル事例、判例などを豊富に交え、会社を守るポイントをわかりやすく解説します。
オンライン動画「会社を守る就業規則」徹底解説セミナーのご視聴方法
社長を守る会の方は、「アンカー・ネット」会員マイページにログイン
するだけで、すべてのコンテンツを、購入することなくご利用になれます。
社長を守る会以外で会員マイページをお持ちの方は、
下のボタンからログインして、オンライン動画のご購入とご視聴が可能です。
当サイトで初めてご購入される方、会員マイページをお持ちでない方は、
最初に、下のボタンから無料会員登録を行ってください。
会員登録後、上のボタンまたは会員マイページ内からご購入いただけます。