解雇事由の限定列挙
- 「その他前各号に準ずるやむを得ない事由」は限定列挙といえますか?
- 限定列挙説に対応することは可能だと考えます。さらに、「会社の従業員として適格性がないと認められるとき」という項目も普通解雇事由に加えるとよいでしょう。
限定列挙説とは
「解雇事由の考え方」で紹介したとおり、就業規則の普通解雇事由をどのように規定するかには、「限定列挙」と「例示列挙」という2つの考え方があります。
このうち限定列挙とは、労働者の債務不履行にあたる行為が、就業規則に規定されている解雇事由に該当しなければ、普通解雇できないという考え方のことです。
それに対し、例示列挙とは、就業規則に規定されている解雇事由は例示的なもので、それに準ずるような事由があれば解雇できるという考え方です。
限定列挙説が採用されることを想定して、就業規則の普通解雇事由を定めておくとよいでしょう。
最後に包括条項を設ける
「解雇の就業規則条文」で普通解雇事由の例を紹介していますが、原則、普通解雇の事由は、具体的に定めておくべきです。
それに加えて、いざという時には、具体的に記載していない事由でも普通解雇が検討できるように、包括条項を規定することが重要です。
一般的には、「その他前各号に準ずるやむを得ない事情があるとき」といった規定がよく見かけられます。
この規定でも、限定列挙説に対応することは可能であると考えます。
普通解雇事由の定め方に注意!
ただし、「その他前各号に準ずるやむを得ない事情があるとき」という規定は、前各号に準ずるわけですから、前各号の規定の仕方も問題になると考えられます。
つまり、前各号に定められた事由が厳格なものであれば、包括条項についても厳格な解雇理由が求められてしまうのです。
大企業ならともかく、中小企業においても新卒一括採用の長期雇用を想定させるような規定を設けると、「その他前各号に準ずるやむを得ない事由」で解雇する場合に、大企業基準に近い手続きが要求される可能性があるということです。
たとえば、厚生労働省のモデル就業規則には、「勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき。」という普通解雇事由が記載されています。
大企業では、「向上が見込まれるか」を検討できる余力がありますし、「他の職務にも転換できる」可能性は十分あります。
しかしながら、中小企業では、長期雇用を維持できるとは限りませんし、そもそも転換できる職務がないかもしれません。
したがって、普通解雇事由には、「会社の従業員として適格性がないと認められるとき」といった項目も設ける方がよいでしょう。
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