退職願の撤回
- 退職願の撤回には、応じなければならないのですか?
- 従業員からの退職の申し込みに対して、会社が承諾する権限を有する者が承諾の意思表示をしていれば、退職願の撤回に応じる必要はありません。
承諾の意思表示をしたか
従業員が退職の申し込みを撤回できるかどうかは、その申し込みに対して会社が承諾をしたかどうかで決まります。
「合意退職と辞職」でご説明したとおり、辞職は従業員が「何がなんでも辞めます」といって一方的に労働契約を解消することであり、合意退職は従業員からの退職の申し込みに会社が承諾することで労働契約を解消することです。
従業員の退職の申し込みに対する会社の承諾により、労働契約を解消することについて合意が成立します。
「会社の承諾」は、承諾する権限を持っている人が退職の申し込みを承諾している必要があります。
会社から承諾の権限を委任されていないような、承諾権限を持たない者が退職願を受領していたとしても、「会社の承諾」とはいえません。
承諾権限の範囲とは?
退職の申し込みに対する承諾権限の範囲は、会社が自ら規定することができます。
承諾権限の範囲に関する規定がない場合は、大企業であれば、社長、人事担当役員、あるいは人事部長クラスであると考えておくのが無難です。
中小零細企業であれば、社長であると考えておくべきでしょう。
承諾権限を持たない者による退職願の受領は、労働契約を消滅する効果を発揮するとはいいきれません。
会社が承諾していなければ、合意退職が成立していないので、従業員は退職の申し込みを撤回することができるのです。
合意退職と辞職は別に規定する
とくに、問題社員から退職願が出された場合には、速やかに社長等の承諾権限者の決済を得ることが大切です。
社長等がその場にいなくでも、電話やメールで速やかに決済を得た上で、承諾された旨を本人に伝えに行き、退職の事実を確定させておくことで、退職の撤回をすることはできなくなります。
このように、「辞める・辞めない」や、「辞めるのは本心ではなかった」といって不要なトラブルに発展させないためにも、労働契約の解消に関する根拠として、就業規則には「合意退職」と「辞職」の条文を別々に記載しておくべきなのです。
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